外部資金取得状況

科研費に関して、詳しくはこちらを参照ください 科研費

 

目に見えない地層の縞(黒色有機年縞)がもつ古環境アーカイヴとしての有用性評価(分担)

研究代表者:山田 和芳

研究期間(年度):2021 – 2022

研究種目:科学研究費 挑戦的研究(萌芽)

 

東ポリネシアにおける人類到達時期とその後の植生改変研究(代表)

研究代表者:藤木 利之

研究期間(年度):2018 – 2020

研究種目:科学研究費 基盤研究(B)

 

年縞堆積物DNAによる景観復元の探求(分担)

研究代表者:山田 和芳

研究期間(年度):2017 – 2018

研究種目:科学研究費 挑戦的研究(萌芽)

 

アジアにおけるホモ・サピエンス定着期の気候変動と居住環境の解明(分担)

研究代表者:北川 浩之

研究期間(年度):2016 – 2020

研究種目:科学研究費 新学術領域研究(研究領域提案型)

 

第三紀温暖要素にもとづいた日本列島ー台湾間の植物交流史の解明(分担)

研究代表者:矢部 淳

研究期間(年度)2016 – 2018

研究種目:科学研究費 基盤研究(C)

 

火山噴火の植生へのインパクトと回復プロセスの高分解能な復元研究(代表)

研究代表者:藤木 利之

研究期間(年度):2014 – 2016

研究種目:科学研究費 基盤研究(C)

 

火山噴火の植生への影響とその回復過程の高分解能復元(代表)

研究代表者:藤木利之

研究期間(年度):2013

研究種目:東京地学協会平成25年度研究・調査助成金

 

生態系の窒素過剰によるスギ花粉生産量の増大研究(代表)

研究代表者:藤木 利之、木平 英一

研究期間(年度):2005 – 2007

研究種目:科学研究費 萌芽研究

花粉症原因花粉の飛散状況の研究

今や国民病とも言われるスギ花粉症ですが、花粉症の原因花粉はスギだけではなく、現在約60種の花粉症原因花粉が確認されています。花粉症原因花粉は、①春から初夏に飛散する花粉の花粉症、②夏から秋に飛散する花粉の花粉症、③農家の方々に見られる職業性の花粉症の3つに分けられます。一般的に春から初夏には木の花粉、夏から秋には草の花粉が中心に飛散し、11月と12月を除けば1月~10月までは休みなく何かの花粉が空気中を飛んでいます。

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スギ花粉は前年の7月頃に形成されます。そのため、前年の7月の気温が高いとその年のスギ花粉の飛散が多くなると言われています。下の図はその関係を示したものです。見て分かるように、前年7月の積算気温が高いとその年の飛散が高くなっています。夏が暑いと次の年の春のスギ花粉は要注意ということですね。

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花粉分析による古環境解析研究

世界中の堆積物を採取し、植生がどのように変化したのか研究しております。

花粉はスポロポレニンという非常に安定した物質でできており、堆積物中などでは非常に長い年月その形態を保ったまま化石となります。化学処理によって堆積物の中から化石花粉を抽出し、顕微鏡で種類とその数を測定し、過去の植生の変遷を突き止めることができます。これが花粉分析という研究です。

これまで堆積物採取に参加した国は、日本(北海道・青森県・富山県・静岡県・鳥取県・岡山県・島根県・広島県・佐賀県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)、ロシア(バイカル湖)、中国(遼寧省・吉林省・黒龍江省・河北省・内モンゴル自治区・青海省・福建省・湖南省・雲南省)、台湾(頭社盆地)、フィリピン(San Pablo)、カンボジア(アンコールトム・Sisophon)、ネパール(Jaljale Himal)、エジプト(Lake Faiyum)、インドネシア(バリ島Lake Buyan・Lake Tambligan)、バヌアツ、クック諸島(ラロトンガ島・マンガイア島・アチウ島・マウケ島)、イースター島、グアテマラ(Sayaxche)、ペルー(Nazca)などです。

現在は福岡大学や鹿児島大学、名古屋大学、島根大学、早稲田大学、などの先生方と共同で、日本各地やクック諸島、ベトナム、フィリピン、アリューシャン列島などの古植生変遷を調査しております。日本以外の地域の花粉分析を行う場合、生育している植物が異なりますので、植生とともに花粉形態もきちんと学習することが重要です。

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グアテマラのヤシャ湖から産出した化石花粉

1:マツ属、2:マツ属、3:マキ属、4:ヤマモモ属、5:クルミ科、6:コナラ属コナラ亜属、7:ニレ属、8:ハンノキ属、9:モチノキ属、10:フウ属、11:クロトン属、12:ヤシ科、13:ヤシ科、14:ジャケツイバラ科、15:イネ科、16:トウモロコシ、17:カヤツリグサ科、18:アカザ科、19:ガマ科。スケールは10 μm。

 

カレカレ2009(年代入り)英語

クック諸島ラロトンガ島カレカレ湿原泥炭堆積物の花粉変遷図

太平洋域は人類が最後に進出した地域です。その拡散年代については考古学分野と自然科学分野で年代の相違があります。我々は花粉分析から、人類到達の年代を提供しております。

花粉分析では急激に樹木花粉が減少し、草本類花粉が増加している時期があります。この時期に人類がラロトンガ島に到着したと考えられます。もっと細かく花粉分析と年代決定する必要があるでしょう。

花粉形態研究

植物の花粉はとても小さいですが、非常に形態に富んでいます。それを顕微鏡を用いて観察し、形態分類を行っています。

・花粉の大きさ

花粉の一般的な大きさは30 μm程度ですが、中には10 μm程度の非常に小さい花粉や100 μm近くもある大きな花粉もあります。

図5 花粉の大きさの違い

様々な大きさの花粉

1:オシロイバナ、2:オオマツヨイグサ、3:ブッソウゲ(ハイビスカス)、4:リュウゼツラン、5:スダジイ、6:クリ、7:オオイタビ、8:オジギソウ、9:キュウリグサ。スケールは10 μm。

・発芽口

花粉には花粉管を出す発芽口がありますが、それが溝型だったり、孔型だったりします。その配置状態と組み合わせにより複雑な形となっています。

図8 色々な花粉型

様々な発芽口をもつ花粉

1:マオウ(多ひだ型)、2:カラマツ(無口型)、3:オニユリ(単溝型・長口型)、4:ススキ(単孔型)、5:オオムラサキシキブ(3溝型)、6:ゴマ(多環溝型)、7:ミズヒキ(多散溝型)、8:ウド(3溝孔型)、9:ワレモコウ(多環溝孔型)、10:ムクイヌビワ(2孔型)、11:トクサバモクモマオウ(3孔型)、12:オニグルミ(多環孔型)、13:アカザ(多散孔型)、14:サガリバナ(合流溝型)、15:シラタマホシクサ(合流溝型・螺旋型)、16:フトモモ(叉状合流溝型)、17:モモタマナ(不同溝孔型)、18:スイラン(小窓状孔型)、19:ヒメハギ(小窓状孔型)。スケールは10 μm。

・複粒と付属物

花粉は一般的に単粒なのですが、まれに複数の小胞子が分裂せずに1つの花粉となったものがあります。また花粉には様々な付属物があり、それらがあるおかげで遠くに飛散したり、昆虫に付くやすくなっています。

図7 付属物と集粒花粉

様々な多集粒型花粉と花粉の付属物

1:ホロムイソウ(2集粒型)、2:ガマ(4集粒型)、3:モウセンゴケ(4集粒型)、4:ネムノキ(16集粒型)、5:ベニゴウガン(8集粒型)、6:ミズチドリ(花粉塊)、7:アカマツ(2気嚢型)、8:ツガ(単気嚢型)、9:ヤナギラン(粘着糸)、10:モチツツジ(粘着糸・4集粒型)。スケールは10 μm。

・表面模様

花粉表面も非常に様々な形をしております。上記の大きさ、発芽口、表面模様などによって、花粉は非常に複雑な形態をしています。

図10 色々な花粉外壁の模様

様々な花粉外壁の模様

平滑状紋;1:トガサワラ。粒状紋;2:アカマツ、3:キンエノコロ。しわ状紋;4:ハマゼリ、5:ツメレンゲ。縞状紋;6:ナシ。網目状紋;7:ネコヤナギ、8:アケビ、9:イシミカワ。いぼ状紋;10:オオバコ。微穿孔状紋;11:ナンキンハゼ。穴状紋;12:リュウゼツラン。刺状紋;13:オオハマボウ。14:コスモス、15:アダン。短乳頭状紋;16:イセハナビ。円柱状紋;17:イタドリ。棍棒状紋;18:クロガネモチ。スケールは10 μm。

もう少し詳しい内容は科学博物館のHPをご覧下さい。→ こちら

 

現在は、日本産と中国産の花粉形態分類を行っております。

それらのデータは図鑑として出版しており、現在までに4冊が出版されています。

購入したい方はこちらをどうぞ →こちら

研究室メンバー

教員

 藤木利之 

 業績等はこちらをご覧ください → ここ

 

学生

2023年度

 修士1年生

 森 涼:北海道東部藻琴湖の花粉分析(予定)

 

 4年生

  宇根本直樹:広島県三條川露頭から見つかった最終氷期の泥炭層の花粉分析(予定)

  坂田優斗:2023年の空中花粉飛散傾向および2024年ヒノキ科花粉飛散数の予測、

                                                                                       花粉飛散と気象との関係(予定)

  坂本衡香:秋田県にかほの津波堆積物を含む泥炭層の花粉分析(予定)

  永田雄大:東ポチネシア・マウケ島の花粉分析 による古植生変化と人類到達年代

  松本郁海:山口県宇生賀盆地の花粉分析(予定)

  水野末衣加:神奈川県所沢市三ヶ島湿地の花粉分析(予定)

 

2022年度

 4年生

  熊谷大輝:鹿児島県湧水町の三日月池の花粉分析による古植生変遷

  石田愛美:東ポリネシア・南クック諸島マンガイア島の花粉分析による

                                                                                       古植生変遷からみた人類到達年代

  水津華月:細池湿原の花粉分析と木炭分析による植生変遷とたたら製鉄の影響の研究

  村野井歌月:東ポリネシア・クック諸島アチウ島の花粉分析 による

                                                                                                 古植生変化と人類到達年代

  森 涼:北海道北部メグマ沼における古植生変遷と人類活動

  森脇悠生:東ポリネシア・クック諸島ラロトンガ島カレカレ湿原における

]                                                                                    古植生変遷からみた人類到達年代

  吉田大晟:2022年の空中花粉飛散傾向および2023年ヒノキ科花粉飛散数の新予測法

 

2021年度

 4年生

  楠本将也:2021 年の花粉の飛散傾向および ヒノキ科花粉の飛散予測数と実測数の比較

  水田雄也:宮崎県甑岳の火口湿原の花粉分析による古植生変遷

  若松 歩:鹿児島県藺牟田池の花粉分析による古植生変遷

 

2020年度

 4年生

  森川源太:東ポリネシア・クック諸島マンガイア島における

                                                                               約2000年間の植生変遷と人類到達年代

 

2019年度

 4年生

  久保朋貴:岡山理科大学における空中花粉飛散傾向の分析

                                             およびスギ科・ヒノキ科花粉飛散量の予測法の再検討

  谷村奈穂:赤名湿原の花粉分析と木炭分析による植生変遷とたたら製鉄の影響

 

2018年度

 修士2年生

  野口 真:アリューシャン列島の古植生変遷およびアレウト族拡散に関する研究

 4年生

  酒井恵祐:Vegetation history associated with human activity since 1930

       based on a pollen analysis of a Lake Mokoto sediment core,

                        eastern Hokkaido, northern Japan

  田中詩乃:北海道南西部ポロト湿原における過去340年間の植生変遷

  美濃部礼旺:浜名湖北東部の引佐細江湖湖底堆積物を用いた

                                                              過去800年間の人類活動による植生変遷

 

2017年度 

 修士1年生  

  野口 真:アリューシャン列島の古植生変遷およびアレウト族拡散に関する研究

 4年生  

  奥井あすか:シラガブドウ(ブドウ科)の花粉形態について  

  重近丞司: ハナバチ類の生活様式と定花性の関係

  千田美穂: ベトナム中央高原の火山湖における植生変遷と古環境の解明    

  田島正博:出来島海岸最終氷期最盛期の埋没林における花粉分析

 

2016年度 

 4年生  

  衣笠 魁:岡山市北区における空中花粉の飛散状況とヒノキ科花粉の飛散予測  

  野口 真:アリューシャン列島アダック島ハベン湖周辺の植生変遷  

  濱田和穂:中国産のハイノキ科の花粉形態について  

  福田勝幸:ネパール東部・ジャルジャレヒマールにおける植生変遷  

  前田悠斗:フィリピン,ルソン島パイタン湖周辺の植生変遷

 

2015年度 

 4年生  

  小野稔文:長崎県唐比湿原堆積物の花粉分析から推定される植生変遷とハス属化石花粉について  

  河田亘晃:鹿児島県肝属平野周辺における5,600年間の植生変遷史  

  松宮悠平:韓国済州島における植生と気候の変遷について