若村先生の記事が山陽新聞に掲載されました。

http://www.sanyonews.jp/article/794002/1/

 岡山理科大名誉教授の若村国夫さん(72)=岡山市北区=が、幕末に日本で初めて米国に渡った軍艦「咸臨丸(かんりんまる)」にちなんだ日本酒を考案した。瀬戸内海から多くの船員が乗り込んだとの史実を基に、倉敷の酒造会社と連携して商品化。咸臨丸が出航した神奈川県横須賀市の浦賀港近くにある酒店で販売している。

 若村さんは同市生まれで、1975年から今年3月まで岡山理科大に勤務。専門は物理学だが、産業考古学にも研究のフィールドを広げ、古里の歴史を調べる中で、咸臨丸船員の大半が丸亀市など塩飽諸島出身と知った。

 「当時の船乗りはきっと倉敷や児島の酒も飲んでいたはず」と考え、1716年創業の熊屋酒造(倉敷市林)に協力を打診。先人たちの功績に光を当てる酒造りのコンセプトなどを伝え、商品化にこぎ着けた。

 同社の日本酒の主力銘柄「伊七(いしち)」を新たに「咸臨出帆」と命名。原料の米や製法の違いで3種類あり、県内産の雄町米を使った純米大吟醸酒(希望小売価格・税別1960円)は緑、山田錦の純米吟醸酒(同1590円)は青、朝日米の純米吟醸酒(同1385円)は赤のラベルをあしらった。いずれも720ミリリットル入り。

 今後、米海軍横須賀基地でのパーティー向けの出荷も検討する。若村さんは「咸臨丸が米国に渡って日本の存在感を示したように、岡山の地酒の素晴らしさが外国の人にも知られるきっかけになれば」と話している。

 咸臨丸 江戸幕府の軍艦。1860(万延元)年2月、日米修好通商条約の批准書交換のため訪米する江戸幕府使節団の護衛艦として、勝海舟や福沢諭吉らを乗せて太平洋を横断した。