基礎理学科の上には、総合理学専攻の大学院があります。

理学研究科総合理学専攻は,理学部基礎理学科で自然科学全ての分野の基礎を学び自分の専門の方向性を見出した学生が,さらに専門性を深めながら専門に根ざした広い視野と判断能力をもった人間性豊かな技術者,教育者に巣立つよう,総合的な教育を行うことを目指しています。本専攻は,数理科学系列,環境エネルギー系列,生物化学系列の3系列から構成され,各研究室では基礎から応用までの広い分野にわたる多彩な研究を行っている。学生は修士課程の2年間いずれかの研究室に所属し,基礎科目,専門科目,特別講義を修得しながら,研究を通じて実践的教育を受けられます。また最近要請されている英語能力を付けるべく、英文の専門書や論文の読解、英文要旨付の修士論文作成などにも力を入れている。21世紀社会の要請に応えうる力のつく教育に心がけ、これまでに多くの修了生を世に送り出し、社会に貢献している。入学学生は”考える力を付けるんだ”という目標を持って、苦手な分野にも前向きに取り組み、広く視野に入れた専門の研究を深めてもらいたい。

環境・エネルギー科学系列

太陽系唯一の”水の惑星”である地球はそのマイルドな環境で人類を含めた高等生物が繁栄を謳歌しているかに見えます。このマイルドな環境は地球46億年の歴史の中で徐々に達成されてきたものです。しかし現在社会は、人間活動がローカルからグローバルまでのさまざまな自然現象に影響を与え、それが人類を含む地球上の生態系を脅かすいわゆる環境問題に直面しています。そこで持続可能な人間活動を続けながら環境悪化を防止するとともに省エネルギー化やクリーンエネルギーの開発などの方策が見出されなければなりません。本系列は科学的な根拠に基づき、生態系を含む自然界の現状と環境悪化のシグナルを認知して、その将来像を予測したり、身のまわりにある電気、石油、ガスなどの動力工ネルギーの変換メカニズムは理解しながらクリーンなエネルギー開発に挑んだりしています。

数理科学系列

数理科学では、純粋数学を大切にすると共に自然科学、特に物理学との関連を重視しています。その主旨は数学を物理学ヘ応用することも大切ですが、逆に自然現象の解析からヒントを得た数学(特に解析数学)が形成されてきたプロセスを教育の面に反映させたいと考えているからです。このことは、統計数学が社会現象から発展してきた過程についてもいえることです。最近の情報科学の発展を省みるとき、計算機処理(プログラミングを含む)は不可欠であり、統計処理は具体例の作成に欠かせないものです。総合理学専攻ではこのことも重視します。今役立つことだけでなく、真の意味での基礎科学はどうあるベきかを常に考えつつ、将来に役立つ大学院教育を目指します。

生物・化学系列

生物は、有機・無機物質から構成されており自然界の法則に従う存在ですが、自然界の法則に一見矛盾したようにみえる自己保存や種の維持といった生命現象を営むユニークな存在です。生物化学系列では、生物学・化学の2分野の教員が相互に連携しながら、物理学・化学的な手法を用いてこのような複雑な生命現象を解明するとともに、動物・植物・環境の調査や生体機能の活用等の研究・教育をしています。ここでは、神経伝達・細胞分裂・有性生殖・種分化などの生命現象の謎に迫る基礎研究から生体物質の成分分析と測定法の開発、生体模倣物質の探索と合成、環境浄化への取り組みといった応用的な研究が行われています。