Prof. Oscar Saavedraによる”Astronomy and Astrophysics”セミナー(1月)

基礎理学科情報宇宙研究室(伊代野教授)では,2015年1月28日(水)15:30から”Seminar on Astronomy and Astrophysics”を開催しました.この度のゲストスピーカーは,イタリアのトリノ大学教授 

オスカー・サヴェドラ先生です.ボリビア出身の先生は,長くイタリアで研究・教育をされてこられ,これまでに数々の賞を受賞されてきました.宇宙空間をほぼ光速で飛び交う高エネルギー素粒子・
原子核の研究分野で,世界のリーダーの一人です.原子核乾板を用いたボリビアのチャカルタヤ山での観測と空気シャワー観測,イタリアグランサッソーの山岳地帯と地下実験施設の同時実験,中南米における広域観測,ロシア―中国間での長距離観測など,高エネルギー天体現象に迫る多くの実験を企画し実現されてきました.伊代野先生とは,1990年代にCERNで行った原子核実験や,JACEE(JapaneseAmerican Cooperative Emulsion Experimet)による宇宙線原子核観測実験,LAAS(Large Area AirShower)実験などで議論を重ねてきました.セミナー前後に,研究室内で議論が行われ,伊代野先生のグループが進めているLAAS実験の進捗状況や,新技術であるLinsley法によるエネルギー決定(松本先生)について議論をしました.
議論は尽きることなく続く中,7号館2階の宇宙線観測装置や7号館屋上のEASアレイ(ExtensiveAir Shower
Array)も見学して頂き,説明を行いました.多くのアドバイスを頂くとともに,伊代野研究室が培ってきた技術にも大いに興味を示していました.
また,新しいいプロジェクトであるGRAINE実験(Gamma Ray Astronomy in Nuclear Emulsionchamber)に対しては,以前からサヴェドラ先生のサポートがあり感謝をしていました.その新メンバーである伊代野研究室の山本さんとも原子核乾板の解析のことで言葉を交わしていました.
議論や講演,実験装置見学など時間はどんどん過ぎていきました.
今回は埼玉大学や在京の大学での講演のお忙しい中の24時間だけを使って岡山に来ていただきました.先生にとって岡山は阪神大震災の年以来20年ぶりの地であり,旧交を深める意味もあり,講演会の後は理科大や岡大を定年された先生とともに歓迎パーティをしました.もちろん,現役の商大の先生,川崎医大の先生方や,研究室の学生さんも駆けつけ賑やかな夜となりました.
ロシア・パミールにおける宇宙線実験によるGRB(Gamma RayBurst)現象の解明プロジェクトへの参加を念押しされる場面など,サヴェドラ先生の宇宙物理学への積極的な姿勢は研究室のメンバー皆勉強になりました.
サヴェドラ先生,ありがとうございました.