世界中の堆積物を採取し、植生がどのように変化したのか研究しております。

花粉はスポロポレニンという非常に安定した物質でできており、堆積物中などでは非常に長い年月その形態を保ったまま化石となります。化学処理によって堆積物の中から化石花粉を抽出し、顕微鏡で種類とその数を測定し、過去の植生の変遷を突き止めることができます。これが花粉分析という研究です。

これまで堆積物採取に参加した国は、日本(北海道・青森県・富山県・静岡県・鳥取県・岡山県・島根県・広島県・佐賀県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)、ロシア(バイカル湖)、中国(遼寧省・吉林省・黒龍江省・河北省・内モンゴル自治区・青海省・福建省・湖南省・雲南省)、台湾(頭社盆地)、フィリピン(San Pablo)、カンボジア(アンコールトム・Sisophon)、ネパール(Jaljale Himal)、エジプト(Lake Faiyum)、インドネシア(バリ島Lake Buyan・Lake Tambligan)、バヌアツ、クック諸島(ラロトンガ島・マンガイア島・アチウ島・マウケ島)、イースター島、グアテマラ(Sayaxche)、ペルー(Nazca)などです。

現在は福岡大学や鹿児島大学、名古屋大学、島根大学、早稲田大学、などの先生方と共同で、日本各地やクック諸島、ベトナム、フィリピン、アリューシャン列島などの古植生変遷を調査しております。日本以外の地域の花粉分析を行う場合、生育している植物が異なりますので、植生とともに花粉形態もきちんと学習することが重要です。

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グアテマラのヤシャ湖から産出した化石花粉

1:マツ属、2:マツ属、3:マキ属、4:ヤマモモ属、5:クルミ科、6:コナラ属コナラ亜属、7:ニレ属、8:ハンノキ属、9:モチノキ属、10:フウ属、11:クロトン属、12:ヤシ科、13:ヤシ科、14:ジャケツイバラ科、15:イネ科、16:トウモロコシ、17:カヤツリグサ科、18:アカザ科、19:ガマ科。スケールは10 μm。

 

カレカレ2009(年代入り)英語

クック諸島ラロトンガ島カレカレ湿原泥炭堆積物の花粉変遷図

太平洋域は人類が最後に進出した地域です。その拡散年代については考古学分野と自然科学分野で年代の相違があります。我々は花粉分析から、人類到達の年代を提供しております。

花粉分析では急激に樹木花粉が減少し、草本類花粉が増加している時期があります。この時期に人類がラロトンガ島に到着したと考えられます。もっと細かく花粉分析と年代決定する必要があるでしょう。