植物の花粉はとても小さいですが、非常に形態に富んでいます。それを顕微鏡を用いて観察し、形態分類を行っています。

・花粉の大きさ

花粉の一般的な大きさは30 μm程度ですが、中には10 μm程度の非常に小さい花粉や100 μm近くもある大きな花粉もあります。

図5 花粉の大きさの違い

様々な大きさの花粉

1:オシロイバナ、2:オオマツヨイグサ、3:ブッソウゲ(ハイビスカス)、4:リュウゼツラン、5:スダジイ、6:クリ、7:オオイタビ、8:オジギソウ、9:キュウリグサ。スケールは10 μm。

・発芽口

花粉には花粉管を出す発芽口がありますが、それが溝型だったり、孔型だったりします。その配置状態と組み合わせにより複雑な形となっています。

図8 色々な花粉型

様々な発芽口をもつ花粉

1:マオウ(多ひだ型)、2:カラマツ(無口型)、3:オニユリ(単溝型・長口型)、4:ススキ(単孔型)、5:オオムラサキシキブ(3溝型)、6:ゴマ(多環溝型)、7:ミズヒキ(多散溝型)、8:ウド(3溝孔型)、9:ワレモコウ(多環溝孔型)、10:ムクイヌビワ(2孔型)、11:トクサバモクモマオウ(3孔型)、12:オニグルミ(多環孔型)、13:アカザ(多散孔型)、14:サガリバナ(合流溝型)、15:シラタマホシクサ(合流溝型・螺旋型)、16:フトモモ(叉状合流溝型)、17:モモタマナ(不同溝孔型)、18:スイラン(小窓状孔型)、19:ヒメハギ(小窓状孔型)。スケールは10 μm。

・複粒と付属物

花粉は一般的に単粒なのですが、まれに複数の小胞子が分裂せずに1つの花粉となったものがあります。また花粉には様々な付属物があり、それらがあるおかげで遠くに飛散したり、昆虫に付くやすくなっています。

図7 付属物と集粒花粉

様々な多集粒型花粉と花粉の付属物

1:ホロムイソウ(2集粒型)、2:ガマ(4集粒型)、3:モウセンゴケ(4集粒型)、4:ネムノキ(16集粒型)、5:ベニゴウガン(8集粒型)、6:ミズチドリ(花粉塊)、7:アカマツ(2気嚢型)、8:ツガ(単気嚢型)、9:ヤナギラン(粘着糸)、10:モチツツジ(粘着糸・4集粒型)。スケールは10 μm。

・表面模様

花粉表面も非常に様々な形をしております。上記の大きさ、発芽口、表面模様などによって、花粉は非常に複雑な形態をしています。

図10 色々な花粉外壁の模様

様々な花粉外壁の模様

平滑状紋;1:トガサワラ。粒状紋;2:アカマツ、3:キンエノコロ。しわ状紋;4:ハマゼリ、5:ツメレンゲ。縞状紋;6:ナシ。網目状紋;7:ネコヤナギ、8:アケビ、9:イシミカワ。いぼ状紋;10:オオバコ。微穿孔状紋;11:ナンキンハゼ。穴状紋;12:リュウゼツラン。刺状紋;13:オオハマボウ。14:コスモス、15:アダン。短乳頭状紋;16:イセハナビ。円柱状紋;17:イタドリ。棍棒状紋;18:クロガネモチ。スケールは10 μm。

もう少し詳しい内容は科学博物館のHPをご覧下さい。→ こちら

 

現在は、日本産と中国産の花粉形態分類を行っております。

それらのデータは図鑑として出版しており、現在までに4冊が出版されています。

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